原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

【ブックレビュー】「私が先に笑うと、世界が私に笑ってくれる」/ スマナサーラ長老の『13歳のチカラが世界を変える』

中学生だけのものにするのはもったいない!

2015年2月に発売になった、『13歳のチカラが世界を変える』(サンガ)がとってもよい本です。わたしはスマナサーラ長老フリークですが、この本はその中でもお勧め! 本の表紙は爽やかな水色で、かわいいイラストの描かれた白い帯ともマッチしています。書店でも手に取りやすい雰囲気ですね。

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帯には『初期仏教長老が中学生に「楽しく生きるコツ」を伝授!』とあります。

 

この本は、スマナサーラ長老が、兵庫県で中学生向けに講演会をしたときの内容をまとめたものです。語り口は非常に易しいのですが、仏教のエッセンスが凝縮されて入っており、おとなが読んでも読み応えがある一冊になっています。しかしながら雰囲気はかなり軽やかですから、長老の本をまだ読んだことのない人にも、初めての一冊としてお勧めです!

 

宗教と教育

日本では教育の場に宗教を持ち込むのはタブー視されることが多いので、最初にパッとこの本を見たとき、教育現場にスマナサーラ長老を招いた中学校の先生方は、すごいなと思いました。

 

自分の子ども時代を振り返っても、宗教関係者からお話を聞く機会はありませんでしたし、10年ほど関わっている子ども教育の仕事でも、宗教の要素が少しでもちらつくとNGだったりします。

 

教育の周辺にいる人たちで固有の宗教を意識的に持っている人はそれほど多くはないですし、宗教の世界が複雑すぎてよくわからないことも多いので、うっかり誰かの気に障ることのないように、なるべく宗教には触れないようにするというのが理由だったりしますよね(わたしが関わっている教育業界は、わりとそのような感じ・・・)。

 

しかしながら実際のところ、この本ではスマナサーラ長老が仏教という枠を超えて人間として大切なことを語っていますから、どんな宗教を持っている人でも、もちろん宗教を持っていない人でも、誰もが抵抗なく、普遍的なこととして受け止められる内容なのではないかと思いました。

 

宗教がどうこう、ということではなく、こういった「本当の生きる知恵」を子どもたちが聞けるのは本当にいいことですし、子どもたちがこういうお話に触れられる機会が広がっていくといいな、と心から思います。

 

長老の愉快なトーク

講演ではスマナサーラ長老のユーモアが弾けています。例えば「自分を客観視するトレーニング」の項では、

いつでも、自分のことを他人のように見るのです。悩んでいるときでも「この人は悩んでいますね」という感じです。たとえば、自分の姓が田中だとしましょう。「私は悩んでいる」とは言わないで、「田中が悩んでいますね、このバカ者が」というふうに見ると、いきなり悩みが消えてしまいます。

・・・なんてお話されています。わたしも思わずクスッと笑ってしまいましたが、講演会に参加した中学生もクスクス笑いながら夢中になって聞けたのではないでしょうか。

 

本の第3部は、子どもからの質疑応答コーナーでしたが、「動物を飼っていますか?」「どんな修行がいちばんつらかったですか?」など、気負いのない質問にとても心が和みました。普段、自分もスマナサーラ長老をはじめ、いろいろなお坊さんの法話を聞く機会がありますが、質問タイムにはどうしても、構えた感じの、まじめなことしか聞けなかったりします(もしくは何も聞けないか・・・)ので、中学生の素直で笑顔あふれる質疑応答がちょっと羨ましかったです。

 

本の中で一番印象に残ったのは、「気持ちは瞬間で変わってしまう」という項です。そこでで描かれていた、長老と長老のお寺に遊びに来ていた子どもとの交流の様子は実に鮮やかで、臨場感のある文章にぐいぐいと自分もその世界に引き込まれてしまいました。子どもが長老の手を握った瞬間に、長老の気持ちが一瞬にしてさっと変わった、というこの部分にはこれまでの長老の本にはなかった新しさを感じて、ちょっと感動。

 

「私が先に笑うと、世界が私に笑ってくれる。私が先に『ありがとう』というと、世界はいつでも私を助けてくれる」という部分も、本当にそうだなあと思いながら読みました。

 

子ども世代、孫世代へ

この本は、仏教のお坊さんが書かれた本ですが、宗教家の話を聞くというのとはちょっと違うニュアンスの本です。宗教アレルギーを持つ先生方もおうちの方も、もし書店で立ち読みしてみたら、きっと子どもたち(とか孫たち)に伝えたくなる内容なんじゃないかなと思いました。

 

おとなの自分が読んでもおもしろいと思える本ですが、もし自分が中学生のときにこんな本に出会えていたら、もっと朗らかに学生時代を過ごせたのになあ!と思ったりもしました。

 

分量的には200ページもないので、あっという間に読めますし、文字も大きくてとっても気軽です。仏教関係の本を何か読んでみたいなと思っている人には、本当にお勧めできる一冊! 梅の花を見ながらさらりと読んでみませんか?