原始仏教ガール’s日記

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【ブックレビュー】瞑想の未来予測も面白い『仏教瞑想ガイドブック』(別冊サンガジャパン)

7月24日にサンガから発売された『仏教瞑想ガイドブック』。分厚いですね。

 

手にしたものの、どこから読もうかなと迷っているかたも多いのではないでしょうか。わたしもひといきには読めず、扇風機の前で少しずつ読んでいたのですが、この本は『仏教瞑想ガイドブック』という名のとおり、仏教瞑想の概要や歴史、言葉の解説、瞑想の未来予測、そして医療との関係や瞑想道場の案内、ブックガイド・・・など、多岐に渡る内容が掲載されており、とてもとても読みごたえがありました。

 

最初に読むなら 

これから読もうと思っているかたは、まずは巻頭の記事、監修の蓑輪顕量先生の書かれた「上座仏教の瞑想概観」から読まれるのがお勧めです。専門家や出家者でない人にもわかるように、丁寧に仏教瞑想の概観について書かれています。

 

この記事は、サンガジャパンVol.14(Summer)とセットで読んでも楽しいです。サンガジャパンVol.14では、蓑輪先生が田口ランディさんと仏教瞑想について対談しているのですが、最初から最後まで、一貫して双方の見解が異なっており、蓑輪先生ご自身が対談の中で「話がかみあっていない」とおっしゃっているほど。しかし見解が違うからこそ、読んでいくうちに上座仏教のシルエットが浮き上がってくる構造になっていますので、瞑想ガイドブックをこの対談とセットで読むと、より仏教瞑想の概観が理解できると思いました。

 

意表を突かれた青野貴芳さんの記事 

『仏教瞑想ガイドブック』で、自分がハッと意表を突かれたのが、青野貴芳さんの記事です。青野さんの記事は『仏教瞑想ガイドブック』の中に4本もあり、どれもおもしろいのですが、「日本におけるヴィパッサナー瞑想の広がりを予測する」という未来予測記事に、自分が今まで考えてもみなかったことが書かれていて、驚きました。

 

青野さんは記事の中で「仏教瞑想は今後、日本で、より広がっていくでしょう」ということを3つの理由から説明していて、その理由の1つが「伝統仏教と在家のネットワーク」なのですが、わたしにはこれが本当に驚きでした。青野さんがなぜ「伝統仏教と在家のネットワーク」を通して瞑想が広まることを期待されているのか、その理由は本文に詳しく書かれていますが、とても画期的な予測だと感じました。

 

同じく青野さんの記事「日本のヴィパッサナー瞑想史」では、いま日本でご活躍されている仏教瞑想に関わりの深いかたのお名前が広く網羅されていて、一読すると仏教界から医学・心理学界までキーパーソンが把握できるとても興味深い内容でした。マインドフルネス系の学会情報や、最先端の研究は早稲田大学が強いということなども詳しく載っていて、たいへん参考になります。

 

二人で瞑想? 

そのほか、葛西賢太さんの記事「現代社会と瞑想」にも注目の内容がありました。普通の瞑想は「自己との対話」ですが、この記事には、相方と言葉を交わし意見をわかちあうという形式での「二人での瞑想」についての言及が。「二人での瞑想」は、純粋な仏教瞑想の枠にはおさまらないタイプであるとは思いますが「マインドフルに対話する」ことの効用は、自分のここ数年の経験と照らし合わせてもピンとくるものがあり、また、これまでほかの本では読んだことがない内容でもあり、たいへんおもしろく感じました。今後、医療・心理学系の研究として、対話系の瞑想についても発展していくといいなと思います(個人的希望)。

 

さらに読んで楽しいお勧め本 —ブックガイドから

ほかにも『瞑想ガイドブック』には、日本テーラワーダ仏教協会の創設者、鈴木一生さんのインタビューなど、おもしろい記事がたくさん。鈴木一生さんは、テーラワーダ仏教を日本に紹介した先駆者で、いろいろなかたからこれまでお名前を聞いてはいましたが、記事を読んで、鈴木さんがどんなことを考え、どのようにテーラワーダと関わってこられたかを初めて知ることができました。

 

星飛雄馬さんの記事「テーラワーダ仏教 瞑想ブックガイド」でも紹介されている鈴木一生さんの著作「さとりへの道―上座仏教の瞑想体験」を、その後購入して読みましたが、この本には、ミャンマーのマハーシ道場での修行の様子などもたいへん具体的に書かれており、これからミャンマーで修行をしてみたいかたには、とても参考になる内容だと思いました(鈴木一生さんがミャンマーに行かれたのは1993年、もう20年も前のことなので、今では様子も異なっているかもしれませんが)。

 

星飛雄馬さんの「テーラワーダ仏教 瞑想ブックガイド」は、サンガジャパンVol.11に掲載されていたときから、次に読む本の参考にしていましたが、今回その内容がアップデートされ、最近発売になった新しい本の情報や、WEBで公開されている文献・法話の紹介も加わっており、仏教初学者としてはありがたい内容でした。このブックリストを参考に、今後も、マイペースに仏教の勉強を継続していきたいと思っています。

 

ちょっとした疑問  

宗教色のない瞑想として「医療でのマインドフルネス」がこの本の中でもページを割いて注目されていますが、それに比べて、ビジネス系のマインドフルネスは、日本での受容度があまり高くないのはなぜなのでしょうか。いずれも「目的のある瞑想」で「効果を重視」し「宗教色がない」のが3大特徴。ですが、マイナスをゼロにするのは瞑想の力を借りてもよいけれども、プラスをさらにプラスにすることに瞑想を用いるのはなんとなく受容しがたい、ということなのでしょうか? Googleやインテルに代表されるビジネス系の瞑想、日本のMiLIの今後の展開なども、楽しみです。

 

濃い内容の『瞑想ガイドブック』、ほとんどの内容がどっしりと硬派な感じですが、時間をかけてゆっくり読み解くのが楽しい本でした。こんな本を生み出せる編集の力が本当にすばらしいと思いました。圧倒的ですね!!

 

↑もうすぐ次のサンガジャパンも出ますね。