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原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

これまで読んだ中で一番びっくりした瞑想本/マハーシ長老著「ミャンマーの瞑想」

この1年いろいろな瞑想本を読んできましたが、最近読んだマハーシ長老の「ミャンマーの瞑想」には驚きました。これまで読んだ瞑想本の中で、いちばんのびっくりです。

 

マハーシ長老はミャンマーのお坊さんで、ウィパッサナー瞑想を世界中に広めた人として有名な方。自分が本の何にそんなに驚いたかというと、1つは修行を始めてから阿羅漢(涅槃)に至るまでの道のりが事細かに書かれていたこと。2つめは「涅槃」という状態が文章として記されていたことです。

 

修行を始めてから阿羅漢(涅槃)に至までの道のりとは

これまでに読んだほかの瞑想本は、瞑想のやりかたについての記述が中心。瞑想修行を続けるとどんなステップでどのように涅槃に至るのかといったことや、そのときの修行者の心理状態はどうなっているのかということについての言及はあまりなかったように思います。が、この本にはそれが細かく段階を踏んで書かれています。

 

ヴィパッサナー瞑想を続けていっても修行の量の比例してだんだん苦しみがなくなっていくというわけではないということはこの本で初めて知りました。修行の過程で、ときに素晴らしい気持ちになり、ときに苦しみや不満が生まれてくるのだそうです。ヴィパッサナー瞑想をしたことで頭痛がしたり体調が悪くなる人がいるということをたまに聞きますが、そのような方々は修行が進んでちょうど苦しみや不満が生まれてくるフェーズに入ったからなのかなと思ったりもしました(妄想)。

 

修行の過程で生まれた苦しみや不満を乗り越え、自分なりに修行がうまくいっている確信が出てくると「もう間もなく目的(涅槃)に達する!!」と、修行者は熱狂的に涅槃に向けての努力をしたくなってくるのだそうです。「涅槃を目指す人が修行に熱狂」というのは、涅槃という目的に強いこだわりがあるようで矛盾を感じたりもするのですが、修行者でもそんなふうに精神的に紆余曲折ありながら日々精進していることを知り、これもまた驚きでした。聖人を目指す人も聖人になるまでは普通の人間なんですね。

 

マハーシ長老はそんな修行者の精神的なアップダウンに対し、次のように指導します。

努力し過ぎるとかえって智慧の開店が遅くなって衰えてしまうこともあります。心配・喜び・楽しみ・期待・熱狂的な頑張りという困惑した気持ちが、ウィパッサナー観法の瞑想を妨害するため、このように修行が衰えてしまうのです。従って、修行が急速に高まり、念と智慧が特に進歩してきたら、努力を高めもせず、減らしもせずに、普通の程度で念じてゆかなければなりません。 

「努力を高めもせず、減らしもせずに、普通の程度で念じてゆかなければなりません」という表現がこの本の中には繰り返し繰り返し出てきます。淡々とした、機械的とも思えるほどの普通のテンションが修行には大事なのですね。*1

  

2つめは「涅槃」の文章化について

自分がふだん読む本は、仏教初心者のわたしでも読むことができる日本語の仏教本ですが、「涅槃とはどういう状態なのか」が書かれている本に出会ったのはこの本が初めて。「涅槃ってそういう状態のことだったんだ!」と目から鱗でしたし、「涅槃の状態とはこういうこと」と証言しているのが1人ではなく複数人いることもにも驚きました。

 

他の本では、修行者が指導者に「自分は預流果に達しました」と打ち明けた途端に失格者扱いされその後悲惨な目に遭った、というようなエピソードがよく出てきます。指導者と弟子の関係というと、それがデフォルトかと思っていたのですが、マハーシ長老とその弟子の関係というのはちょっと違った感じだったのでしょうか。とても興味深く感じました。

 

そのほか、涅槃に入ったり出たりする方法など、これまで想像したこともなかったようなことも書かれており、とにかく想像を絶する内容の本でした。

 

今後知りたいこと・・・

パーリ語の教典などを読めば、この本に書かれているような涅槃までの細かいステップだったり、涅槃とはこういうことなんですよ、といったようなことも書かれているのかもしれませんが、日本語でさらっと読める本で涅槃関係についてここまで具体的なことが書かれている本はほかにはないのではないかと思いました。そういう意味で、この本は貴重です。

 

この本は70年ほど前にミャンマー語版が出て、20年程前に日本語版が出た本なので、もうずいぶん前から世の中に出ている本ということになります。なぜこの本だけが、涅槃や涅槃までのプロセスに言及しているのか、といったあたりもちょっと気になりますが*2、難しくない日本語で書かれていますし、仏教用語については注釈もあります。読めば読むほど引き込まれる本なので、ヴィパッサナー瞑想やマインドフルネスに興味を持っている人なら、いちどは読んでもよい本なのかなと思いました。

*1:涅槃に至るまでのステップについてこの本でふむふむと勉強したあと、たまたまティク・ナット・ハンさんの「Discourse on Full Awareness of Breathing (anapanasati sutta) 」の16段階の記述を読む機会があったのですが、その記述を見て「あ、同じことが書かれてる」と感じました。自分が感じたことが合っているのか的外れなのか、今度詳しい方にお尋ねしてみたいと思っています。

 

*2:ほかにもあるのかもしれませんが・・・。

★追記(5/22)

日記を読んでくださったかたから早速、この本以外にも涅槃について書かれている本があることを教えていただきました。次はその本も読んでみたいと思っています。ありがとうございました。