原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

サンガジャパン Vol.17で「仏教と心理学の接点」に触れる

サンガジャパン最新刊の特集は「仏教とキリスト教」です。今回も表紙のデザインがすてき。

 

「仏教と心理学の接点」に触れられる一冊

今回のサンガジャパンは8つの記事で構成されていました。

 

特集テーマは「仏教とキリスト教」ですが、8つの記事のうち2つは精神科医が絡む心理学寄りの記事。見方を変えれば「仏教と心理学の最先端の接点」に触れられる一冊と言ってもよいでしょう。

 

医学・心理学の領域からマインドフルネスを実践している人や、マインドフルネスに興味を持っている人が読むといろいろな発見があると思います。

 

アメリカの精神科医が語る仏教

精神科医が絡む記事のうちの1つは精神科医マーク・エプスタイン博士のインタビュー、「『ブッダのサイコセラピー』の著者に聞く、アメリカ仏教の現在形」です。

 

マーク・エプスタイン博士のことは、昨年の12月に武蔵野大学有明キャンパスにて行われた「仏教と心理学の協調は仏教の未来となりうるか」のシンポジウムで初めて知りました。シンポジウムで博士の講演を聞いて「西洋心理学に仏教のエッセンスが入るよさ」を肌で感じ、もっと深い話が聞けたらいいなと思っていた自分にとって今回の記事はドンピシャ。

 

博士は西洋心理学や西洋医学にベースを置きつつも、テーラワーダ仏教大乗仏教チベット仏教まで幅広く仏教を学び、どれかにひとつに固執することなくフラットに仏教の実践をされています。精神科医としてカウンセリングする際に瞑想を積極的に勧めることはないそうですが、そうしなくとも言葉の端々から仏教がにじみ出ているところが博士のかっこよさであり魅力です。

 

博士はアメリカにおける仏教をこのように語ります。

  • 仏教は、世界の宗教でも最も心理学的な宗教であり、世界の心理学の中でも最もスピリチュアルなものだと考えています。仏教は、スピリチュアリティが見出だし難い西洋世界において非常に重要なものです。
  • 多くのキリスト教徒は、子どもと一緒に教会へ行き賛美歌を歌いますが、瞑想をしたりヨーガを学んだりすることに何も抵抗を感じていません。それは、彼らは仏教を宗教というより、実践的なものから何かを学ぶものだと理解しているからです。つまり、仏教の宗教性は隔離され、心に通じるもの、身体のリラックス方法として理解されているのです。
  • ジョン・カバット・ジンは、マインドフルネスを基盤としたストレスを減少させる瞑想に大きな影響を受けています。彼のテクニックは大変多くの病院に取り入れられています。しかし、人々はこのテクニックが仏教に由来するものだとは知りません。
  • 全く私の個人的な見解ですが、アメリカにはすでに心理療法というしっかりとした伝統が構築されていますので、アメリカ仏教は心理学とともに興隆すると思われます。

 

上記はほんの一部ですが、本文ではアメリカで仏教が自然に人々に実践されカルチャーになりつつあることに触れられます。興味深いお話がいっぱい! 

 

この記事のインタビュアーは大來尚順さんという方。グローバルに活躍されている浄土真宗のお坊さんで、日本で仏教を学んでからアメリカに渡り、仏教だけでなく神学も専門的に学ばれた学者さんでもあります。マーク・エプスタイン博士とハーバードの先輩後輩の間柄ということもあり、深い話に及ぶすばらしいインタビューになっています。

 

日本の精神科医が見るマインドフルネスと仏教

マーク・エプスタイン博士が語るアメリカでの仏教文化の隆盛は、日本でも若い人を中心に同じような感覚で広がりつつあると感じます。自分ぐらいの世代にとっては初期仏教よりも西洋心理学や精神医学のほうが学問的にもメジャーでなじみがあり、そこに新しいエッセンスとして仏教を取り入れるとなんだかすごくよさそうだ、という漠然とした期待があるのではないでしょうか。

 

その期待感をそよ風のように感じられるのがもう1つの記事。哲学者の永井均さんと精神科医の香山リカさんの対談「ヴィパッサナー瞑想を哲学する」です。治療者の視点で「使える瞑想」を追求されています。

 

  •  最近は薬に対して抵抗のある人も多いし、みんな新しもの好きだから、マインドフルネス認知法自体は心のケアの世界でブームになりつつあります。先日、「マインドフルネス学会」もできたんですよね。
  • 最近、「マインドフルネス認知療法」に出会ったんです。最初はなんの知識もなく単なる興味だけで勉強を始めたら、その基本になっているのがヴィパッサナー瞑想だと書かれていた。既成の認知療法とも少し違う、かなり東洋医学的、仏教的なメソッドでした。

 

自分も「マインドフルネス学会」の設立総会に行きましたが、カウンセラーや作業療法士のかたなど、西洋医学で学ばれたかたが新しいことを学ぼうと大勢来ていて会場は大盛況、確かにブームになっているのを肌で感じました。

 

GoogleAppleのように覇権主義、一人勝ち主義的な会社の人たちが、マインドフルネスに飛びついて研修に取り入れたりしていることへの言及もあり、仏教の知識がそれほどなくても今が旬の話題を学べる内容です。

 

おわりに

中高のときに心理学をかじり、大学で人間工学を学び、社会人になってからは教育やメディアの仕事をする中で仏教に出会った自分ですが、すべてがいまひとつにつながってきている感じがしています。それって自分だけの話ではなくて、世の中の流れともリンクしているのかも、とvol.17を読んで思いました。今年は心理学を学び直して、仏教と心理学の接点を身体ごと感じていきたいと思っています。

 

というわけで、この2つの記事だけでもサンガジャパンvl.17を読む価値あり! 仏教徒だけでなく心理学、仏教心理学、精神医学系が専門のかたにもお勧めです。