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原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

「人はなぜ突然怒りだすのか?」という本を読んだ

スマナサーラ長老の「怒らないこと」がベストセラーになってから、「怒らない系」の本がいろいろ出ています。この本も怒りがらみの本で、ブックファーストでタイトルに惹かれて衝動買い。突然怒りだす人ってけっこういますよね。

この本で紹介されているのは、ロシアで生まれた「システマ」という方法。システマはロシア軍の訓練法で、ソ連崩壊後に護身術としてロシア国外に広まり、いまではストレスマネジメントや健康法として世界各国で活用されているものだそうです。もともと軍隊の技術なので、銃弾が飛び交うようなストレスフルな状況で、いかにして怒らず、恐れず、冷静でいられるかを目指してつくられたものだとか。

 

仏教みたいなところもあるシステマ

システマは「よりよく戦うため」に編み出された方法ですから、その目的は仏教の教えとは相反するものですが、本を読んでみるとヴィパッサナーに通じるものを感じました。

  • 身体に意識を向け、よく感じることで、緊張を見つけだす。言葉にすると簡単ですが、特に身体に意識を向けることなく日々を送って来た人にとっては、なかなか勝手がつかめないことがあるようです。
  • そこで助けとなるのは「ゆっくりと動く」ことです。
  • ゆっくりと動くことで、日常ではなんとなくごまかせていた雑な動きや緊張を的確にあぶり出すことができるのです。すると分かるのが、私たちは実に多くの動きを無自覚のうちに行い、力みを抱えているのかということ。
  • そうやって身体のすみずみまで意識を張り巡らせてコントロールしていくことで無意識的な力みを解消し、怒りにくい身体へとつくり替えていくことが可能となります。

・・・けっこうヴィパッサナー的??

精神面に関しても仏教的だなと思ったところがいくつか。

  • 人と人は万有引力の法則によって微妙な調和を保っている星々のように、目に見えない影響力を与え合っています。人と人が同じ場所に居合わせれば、特に意識しなくても何らかの関係性が生まれ、お互いに干渉し合っているのです。
  • 怒りに煩わされることが少なくなれば、その分だけほんの少しの余裕が生まれることでしょう。その余裕があれば、周囲の人が困っているのを助けてあげられるかもしれません。必ずしも具体的な行動ができるとは限りませんが、無事や幸せを祈るくらいのことならできるはずです。

因果法則とか、慈悲の瞑想とかと似ていますよね。

 

ベースはキリスト教

仏教で言ってることとなんだか似てるなと思いつつ、システマのベースにあるのはどんな思想なんだろうか、と思って読み進めていたら、キリスト教の一派である正教会の教えだと書いてありました。キリスト教だったんですね。「神は全知全能である」という思想がシステマの哲学に深く反映されているそうです。

 

本の中盤は、システマというのがいったいどういう方法なのかという紹介がありました。基本的には、呼吸をすることで緊張を解き、自分を平常の状態に戻す、という方法で、だれでもすぐにでも取り組めるのがいい感じです。

 

藤田一照さんとの対談

これで終わりかなと思ったら、なんと本の最後にこの本の著者である北川貴英さんと曹洞宗の僧侶の藤田一照さんの対談がありました。

 

藤田一照さんは、最近「アップデートする仏教 (幻冬舎新書) 」という本を出されていていますが、その中にも出て来た「青空」という表現がここでもたくさん出てきます。「青空」という表現は禅に似合わずセンチメンタルな印象を受けるのですが、禅をやってる人には自然な表現なのでしょうか。(知識がなくてわかりません・・・)

 

  • 怒りは煩悩で良くないものだから根絶しなきゃいけないという立場の仏教もありますけど、「怒りのエネルギーを上手に活かせばいい」というのが大乗仏教の立場です。生きている限りみんな持っているエネルギーの一つの表現と見るわけです。
  •  お酒だって飲まれちゃわない程度に味わって楽しむことができれば百薬の長になる。お酒自体が悪いわけじゃない。飲み方の問題。怒りもそれと同じです。

 

「怒ってもいい」「お酒を飲んでもいい」というお坊さんを見ると「ま、まさか本気ではないでしょうね・・・」という気持ちになってしまうのですが、堅苦しいことを言わないのが日本文化としての仏教なのでしょうか。あまり日本仏教界に詳しくないので、そこのところが本当によくわかりません・・・。

 

あちこちに飛んでゆく、わたしの心

というように、この本を読んでいるときのわたしの気持ちは「仏教と似てる!」→「キリスト教だったのか」→「なるほど、自分にもできそう!」→「青空!?」と、あっちに行ったりこっちに行ったり。

 

すごくステレオタイプというか、フラットでないというか自由でないというか、本に集中してマインドフルに学べばいいのに、余計なことばかり考えて思考と妄想の入り交じった読書になりました。そこも含めておもしろかった読書でした。