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原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

仏教に興味がある人なら読んで損ナシ!佐藤哲朗さんの『日本「再仏教化」宣言!』

佐藤哲朗さんの著作『日本「再仏教化」宣言!』が12/27に発売されました。

 

佐藤哲朗さんといえば、日本テーラワーダ仏教協会の事務局長さん。「仏教協会の事務局長さん」ということで、自分の中ではちびまるこちゃんに出てくる気のいいおじいちゃんのような人かなと勝手に妄想していたのですが、佐藤哲朗さんはそういうタイプではありません。まず、おじいちゃんじゃないし。

 

スマナサーラ長老の講演会や瞑想会でお見かけする機会はけっこうありますが、いつもしかめっ面でiphonemacを手にしており、近寄りがたい雰囲気を醸し出していらっしゃいます。そのうえ、twitterなどでの発言も過激なので、目が合ったらどうしようとびびってしまうほど。

 

そんな佐藤さんですが、twitterで「もうすぐおらの新刊が出るよ!」とちょっと親しみやすい感じで本の宣伝をしていたのと、また、この本を読んだ曹洞宗のお坊さんが『「この本を読むまで、あなたはほんとうの佐藤哲朗」の姿を知らないと言ってもよいだろう。twitterやFBでの氏の言動に批判的な人にこそ読んでもらいたい。』とツイートしていらっしゃるのを見て「怖い本かもしれないけど、読んでみようかしら・・・」と思った次第です。


 時には過激にブッダに帰依する

前置きが長くなりましたが、実際読んでみたら、実によい本でした。仏教のことがよくわかると同時に、佐藤哲朗さんのこともよくわかる本です。

 

本の前書きから「本書には各方面に喧嘩を売る内容が含まれるので、謝辞の範囲を広げてご迷惑をかけることは控えたいと思います。 」と名言しており、やっぱり過激なのかしら・・・と思いながら読み始めましたが、内容はいたってまじめ。

 

すべての事柄はパーリ仏典を根拠として書かれているので説得力は抜群です。「初期仏教への認知の歪みを正す」という章でのステレオタイプな「小乗仏教批判」を木っ端みじんに論破するあたりは、永久保存版にしたいと思ったほど。

 

いかに日本の仏教研究者や識者が小乗=自利、大乗=利他という固定観念に縛られているか、という点がズバリと指摘されているのも、勉強になりました。

 

日本で大乗仏教在家起源論がばーっと広まった背景に、日本ならではの理由があったり、逆にいつまでたってもテーラワーダに対するステレオタイプな思い込みが消えないのも大乗文化に基づくものだとのことで、

  • 日本仏教への思想的体系性を回復するには、仏教者も仏教研究者も自らの俗情や文化的志向性(嗜好性)への愛着を措いて、仏教の教祖である釈尊の教え、初期仏教の教えの「体系性」と真摯に向き合うことが必要だと思います。

と書かれていたところは、なるほどと。自分は日本仏教を何も知らずにスマナサーラ長老や初期仏教に出会ったので、こういう内情を知ることも新鮮でした。

 

政治・社会運動に関わっている理由

佐藤さんは日ごろ政治・社会運動にも積極的に関わっており、佐藤さんのtwitterを見ていると「また今日も怒ってる(ように見える)なー」ということが多いのですが、決して「怒りを動機にしたことはありません」とのこと。言葉はかなり過激なことが多いのですが、怒っているわけではなかったのですね。


なぜ仏教徒が政治・社会運動に関わるべきか、どういう態度で関わるべきか、ということについても書かれており、納得感がありました。

 

人間の寿命とマイトレーヤ登場の関係、マハーパジャーパティーゴータミーの話

弥勒菩薩マイトレーヤ)について書かれている章や、ブッダのお母さまのマハーパジャーパティーゴータミーが、ブッダ(育ての息子)やラーフラ(孫)、ナンダ(実の息子)、アーナンダ(甥)の死に目に遭うのが嫌なので、自分から涅槃することを宣言する、というくだりはエンターテイメントとしてもおもしろかったです。詳しい内容は、ぜひ本書で読んでみてください。

 

めくるめく仏教書の紹介

最後のほうにはかなり多くの仏教書についての紹介がありました。手当たり次第に本屋さんやAmazonでポチッとしていた自分には貴重なリスト。今後はこの紹介も参考にしながら、いろいろ読んでみたいと思います。

 

今後に向けて

お釈迦様の直接の教えをもとにすべてが書かれているところが、とてもしっくりきましたし 、全編が1つのテーマで書かれているのではなく、角度を変えて複数のテーマが盛り込まれているあたりも自由な感じでおもしろかったので、すぐにでも続編が出たらいいのにと思ってしまいました。日本で初期仏教を体系的に勉強できる場が今はないので、そういう場作りにもご興味があればよいのにと思います。ある種、学習塾的な。初期仏教を学びたい人が老若男女、けっこう集まるんじゃないかなと思いました。

 

おまけ 

文章の端々に「イケメンとキモメン」などの言葉が出てきたり、上品かと思ったらいきなり悪!みたいなバランスもおもしろかったです。年末年始に読む本としてオススメです。