読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

【レポート】シンポジウム「仏教と心理学の協調は仏教の未来となりうるか」

セミナー ヴィパッサナー 瞑想 仏教 認知行動療法

12/14(土)に武蔵野大学有明キャンパスにて行われた「仏教と心理学の協調は仏教の未来となりうるか」は、非常におもしろいシンポジウムでした。一瞬たりとも聞き逃したくない、と思える濃密な時間を過ごしたのは久しぶり。講演されたマーク・エプスタイン博士はすばらしいかたでした。

 

日本仏教心理学会の田中ケネス先生

このシンポジウムのコーディネーターは田中ケネス先生。田中先生は武蔵野大学教授であり、日本仏教心理学会の会長も務めていらっしゃっしゃいます。日本仏教心理学会は2008年にできたばかりの学会で、仏教と心理学の間にある溝にこだわらず、分野を超えて自由に協力し合い、学び合いましょうという目的の学会です。

仏教心理学会の「設立趣意書」より(抜粋)

深刻な心の荒廃が指摘される現在の状況において、今こそ、仏教と心理学に携わる研究者や臨床家や実践家たちが協力し合い、現代人の ための新たな心の理解、癒し、救い、成長への道を模索することが望まれているのではないかと思います。そのためには、仏教や心理学が抱える派閥的な束縛を 超えて、ひらかれた心で、それぞれの研究や臨床的実践の成果を発表しあい、学びあいながら、健全なる批判精神を失わずに対話を続けてゆくことが必要です。

どんな分野でも分野を超えた恊働や融合は難しいことですが、そこをあえてやっていこうとしているところが魅力ですよね。宗派や学派にとらわれず、人々の幸せのためにそれぞれが学び合いながら対話を続けて行くという態度は、自分にはとてもピンときます。

 

仏教心理学会の趣旨どおりの生き方、マーク・エプスンタイン博士 

今回のシンポジウムでは、まさに仏教心理学会の趣旨をそのまま実践されていると言っても過言ではない、マーク・エプスタイン博士による講演がありました。

 

エプスタイン博士はニューヨークの病院で精神科医としてセラピーのお仕事をされていますが、長年マインドフルネスや瞑想を続けてこられた仏教徒でもあります。ご自身が仏教の実践をしてこられた経験と専門領域である医学からのアプローチが賭け合わさって、講演の内容は非常に実感値の高い、説得力のあるものでした。

 

エプスタイン博士の仏教のベースは、初期仏教の教えや瞑想やマインドフルネスといった実践のようでしたが、ときおり「空と雲」とか「海と船」といった表現もあり、大乗感も垣間見えました。枠組みにはとらわれずに、医療として、セラピーとして、役に立つエッセンスを取り入れているようです。

 

エプスタイン博士曰く、セラピーにおいて、かつては「セラピスト自身に存在感があってはいけなかった」そうですが、転換期を経て「セラピストも存在感を出してよい」時代になり、今ではエプスタイン博士も仏教徒である自分を隠さずにセラピーに当たっているとのこと。隠さず臨むことで、セラピーの空間には仏教感がにじみ出るため、それが患者さんとの関係においてもとても役に立っているそうです。

 

今回の講演でもエプスタイン博士が話している間、仏教感で会場が満たされ、非常に心地のよい空間が生まれていると感じました。仏教に対する誠実な気持ちが、聴衆にもひしひしと伝わってきました。

 

感想

今回のシンポジウムは、今の自分にかなりピンとくる内容でした。「仏教学者でもなく、僧侶でもない、在家の仏教徒である一個人が仏教を勉強して実際の生活や職業にいかす」ということについて、いったいどうしていけばよいのものかと迷走している自分ですが、その迷いに対してすごく大きなヒントをもらったような気がします。

 

エプスタイン博士は「セラピスト」であり、もともと心の領域に近い職業ですが、そうではない職業であっても、仏教徒であることで何かできることがあるのではないか(明示的でなくても)と、自分自信に問いかけてみたいと思います。

 

この講演会をコーディネートされたケネス田中先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 

こちらはマーク・エプスタイン博士の著書です。 

 

最後に・・・すばらしき通訳者、馬籠久美子さん

今回の講演は、通訳が馬籠久美子さんだったのもラッキーでした。馬籠さんは9月のアンフーン・トゥさん夫妻のマインドフルネス実践会のときも通訳をされていたのですが、英語も日本語も話し方もすばらしく、馬籠さんが通訳してくださることで、講演の内容が3倍増しで理解できました。馬籠さんについて、あまり詳しいことはわからないのですが、これまでどんな勉強をして、どんなお仕事をなさってきたのか、もっと深く知りたいものです。完全にファンです!