原始仏教ガール’s日記

気づけばすっかり仏教徒。 twitter @music_buddha

本当に何を聞いてもいい、ダライラマの質疑応答

先週、ダライラマの来日講演を聞きに両国に行ってきました。 

両国国技館に行くのは大学生のとき以来。国技館だから公演中は飲食自由だと思い込んでいたのですが、警備がたいへん厳しく、ペットボトルの水さえ持ち込み禁止。講演中も頑強な警備員さんがダライラマの周囲に10人ぐらい立ち、観客が不穏な動きをしないかじっと監視していました。

 

びっくりしたのはダライラマに一番近いアリーナ席の最前列の前に柵があったこと。ダライラマに万が一でも何かがあってはいけないということでの警戒態勢なのでしょうが、最前列の人(おそらく熱心な仏教徒かと)が柵越しに法話を聞く姿を3階席から見ていて、仏教のイベントですら他人を信頼するのはとても難しいものなのだということを感じました。

 

演題は「日常の中で活かす仏教の智慧」

最初の1時間半はダライラマによる法話。英語から日本語への変換が同時通訳ではなかったので「今まさにダライラマの話をリアルな場で聞いている」という感じが薄かったです。

 

おもしろかった質疑応答

というわけで、法話の部分はやや残念な感じだったのですが、後半の質疑応答はエキサイティング。仏教と言えば「質問をして学ぶ」もの。そして質疑応答こそ、ライブで参加しているからこその醍醐味です。

 

ダライラマの質疑応答コーナーは「なんでも聞いてください」というスタンス。小心者のわたしは「これからどんな質問が出るのだろうか、突拍子もない質問が出たり、意地悪な質問が出たりしたらどうしよう…」とドキドキ緊張。しかしどんな質問にも笑顔で回答するダライラマ。…とそのとき、2階席の奥の方から突如として大声で叫ぶ若い男性の声。国技館がしんと静まり、男性の大声が響き渡り、屈強な警備も男性のほうへ体を向けてまさに警戒態勢。いったいどうなることかと緊張感が走ります。

 

3階席のわたしには明瞭に聞こえなかったのですが、どうも男性は「アリーナ席の人にしか質問の権利がないのは不公平だ」ということを主張していたようでした。それを聞いたダライラマは「質問の権利は平等ですから、一階席に降りてきて質問してください。遠慮せず降りて来てください」とまったく慌てず男性に指示を出しました。この落ち着きっぷりを見て、ダライラマすごい、と思いました。さすが広い世界で活動し、何年も何十年も質疑応答を繰り返してきた経験のある人なのだなと。

 

その後男性は一階席まで降りてきて、無事マイクを握ることができました。質問は「ぼくは妖怪になりたいのですが、ダライラマ法王はどんな夢でもかなうと思いますか」という内容。この質問を聞いて、自分は「えー、そんなこと聞くの!?」と反射的に思いました。自分が普段仕事をしているときなど「何でも聞いてくださいね」と言われても本当に「なんでも」聞くのは空気が凍るのでNG。「この会議の場で聞いてもよい範囲」を瞬時に読んであたり障りのない質問しその中で答える思考に慣れてしまっています。ですから本当に自由な質問をする人に対して「ちょ、ちょっとそんなこと聞いていいの!?」と思ったのです。

 

しかしダライラマはその質問を受けても特に取り乱すこともなく笑顔で「まずはどうすれば実現できるかを考えましょう。そして考えたことをあなたの友だちに話してみて、実現できそうかどうかを聞いてみるとよいでしょう。実現できそうな方法を考えられないと、実現はしませんね。」というような内容を極自然に話されたのでした。すごいですね…。

 

その後も質疑応答は進み、最後の質問者は韓国のテレビ局から来たと名乗る韓国語を話す女性。「ホーキング博士によると1000年後には人間は地球ではない別の星に住むそうです。仏教徒が別の星で暮らすときに何に気をつければよいか教えてください」というこれまた想像を遥かに超えた質問でした。これに対してダライラマは「1000年後のことを考えるよりも今を幸せに生きることを考えましょう」と回答し、会場は拍手喝采。

 

終わりに

ダライラマが入場するときも退場するときも、お客さんのほとんどが立ち上がって盛大に拍手をするぐらい、会場は熱心なファンでいっぱいでした。落ち着いていて、ユーモアがあって、偏見なく平和を目指しているのだなということが短い時間ではありましたが感じられました。ダライラマがどんな人物なのかの知識がほとんどないので、少し本でも読んでみようかと思います。